ほにやら日記(翻訳のお仕事と通訳訓練)

翻訳したり短歌書いたりギター弾いたりしてます。一人で通訳の訓練をしてます。

高校生祭り(読書備忘録)

特に意図したわけでもないのに、最近読んだ本の主人公が高校生ばかりでした。

桐島、部活やめるってよ、以外は舞台も高校じゃないし、全く毛色の違う本でした。

 

阿修羅ガール (舞城王太郎)

舞城さんの文章って、不思議。勢いに任せて書いているように見えてしっかりとバランスが取れている。「阿修羅ガールは」高校生が思ったまま書いたような文章なのに、そこに破綻はなく、ぐんぐん加速するように引っ張られてゆきます。

このドライブ感のために読んじゃうんだよな。

作品によっては文章に酔ってしまうことも。

 

 

桐島、部活やめるってよ (朝井リョウ)

なんだか既視感のある訛りだと思ったら、著者は岐阜出身でした。

青い!甘酸っぱい!くすぐったい!

でも個々の登場人物の気持ちを辿ってゆくことで 、集合的な「高校生」というイメージから離れて、それぞれの人物の心の動きを感じられました。

 

 

 ジニのパズル (崔 実/チェ・シル)

 これは、主人公の高校時代の描写が多いだけで、「高校生」ということに焦点を置いた作品ではありません。

でも、15-18歳という、自我が確立されているのに大人(成人)ではない時期に自分が何者なのか(どの国・文化に属するのか)を問われ/問いながら変わってゆく様子が描かれています。

 ポエムな描写はちょっと入り込めませんでしたが、真ん中のまさに高校での話にはぐっと掴まれました。

 

高校は関係ないけれど、同じくらいの時に読んだ本。

「かわいい」論 (四方田犬彦

本書の中で「かわいい」とは何か、について特に結論は出ていませんが、「かわいい」という概念に対してまずはノックしてみようかな、という研究が興味深かったです。

長く使われてる言葉で、すっかり人口に膾炙していますがこれも文脈と話す人によっていろんな意味に訳される言葉ですよね(言葉のことを考えると、つい通訳・翻訳するときどうしようかと考えてしまう)。

 

最初の理論的な説明はまだ消化しきれていない(理解しきれていない)のですが、実際に大学生にアンケート行った結果についての考察はわかりやすかったです。