新学期始まる前の最終ダッシュ読書備忘録
通訳学校の新学期が始まりました。
さて、集中していかないと。
ということで、最終ダッシュかけた読書備忘録です。
(学期最初のあいさつで、本を読むのが大好き、という人が二人いて何となく嬉しかった)
Holiday for murder (Agatha Christie)
アガサ・クリスティーの作品の展開はこういうものだと(自分が)思っていることを再認識。
この作品では、前回のDeath comes as the end で感じた退屈さや違和感はなく楽しめました。
Death comes...は、読者(私)の好みの問題もあるし、作者が「いつものイメージから脱却」しようとして書いたのを受け入れられなかったのかもしれない。
仲のよくない兄弟家族、会ったことのなかった孫娘、突然訪問してきた昔の仕事のパートナーの息子が集まったクリスマス直前のお屋敷で、お金持ちの老主人が密室で首を切られて死ぬ。
犯人はだれか、疑心暗鬼になったり、自分のアリバイをアピールする様子が人間味溢れていて楽しめました。
自閉症の僕の七転び八起き (東田直樹)
自閉症の人と初めて会ったのは名古屋のヨナワールドでした。
それまで電車や町の中で突然話出す人がいるなー、とは思ってましたがそれが自閉症の人だとは気が付いていませんでした。
町の中を一緒に歩いていたら、とても楽しそうに興奮して走って行ってしまったので「信号が赤だよ!危ないよ!」と追いかけました。ヨナの他の人は「大丈夫だよ~」と鷹揚。青年は普通に横断歩道の前で止まっていたのが印象に残ってます。
話を聞いていないかと思ってたらちゃんと届いているんだ!という衝撃がよみがえってきました。
この本の著者は自閉症スペクトラムの方で、自らの言葉で自分が何を考えているのか語っています。自分の気持ちを適切に外に伝えられる方法を見つけることができるのは、自閉症でもそうでなくても簡単なことではありません。
果たして言葉を扱う仕事についている自分が東田青年のように自分の内面に素直に向き合って、分析できるか、というと難しい気がします。
言葉の問題じゃない、方法の問題じゃない、もっと根本的な何かがある気がする。
さびしいまる くるしいまる (中村うさぎ)
中村うさぎのエッセイは、露悪的とも思えるほど自分をさらけ出して分析して、ごまかしたり取り繕ったり簡単に正当化したり結論付けようとしないところが痛々しくも引き付けられます。
最後、なんでか泣けました。
女子漂流 -うさぎとしおんのないしょのはなし (中村うさぎ、三浦しおん)
こっちはもう少し軽く読める対談でした。「専業主婦は女が作ったカツアゲシステムで、それに対抗するために男が経済を作った」、というのがツボに入りました。前半部はいろんな人が違う言葉で言ってることだけど、カツアゲ・・・なるほど。
頭痛女子のコンカツ (清水俊彦)
タイトルで「コンカツ」とかあおってますけど、これはコンカツをモチーフにした頭痛女子への頭痛の啓発本、と認定!だって、「頭痛女子は前髪はオンザ眉毛、黒いシンプルなドレスでパーティの壁の花になって、自分の話ばかりする身の回りの品にこだわりの強い才能ある頭痛男子を捕まえなさい」(勝手に要約)なんて、どう考えても真剣にコンカツのお手伝いをしているとは思えない。
片頭痛持ちではないのですが面白い本でした。偏頭痛がある人でこういう冗談をベースに書いてあることを許容できる人にお勧め。
現代、野蛮人入門 (松尾スズキ)
別に野蛮人といっても、街中で手鼻をかめとか冬に下駄で歩けとかいう話ではなく、何かちょっとした事にも正義や"正しさらしさ"を振りかざして来られると息苦しいよね、という話。
角を立てずにかなりいろんなことに反論しています。こういう技術を身につけたいです。
乳と卵 (川上未映子)
初めて最後まで川上さんの本を読めました。ようやく心が反応するようになったのだろうか。
独特の大阪弁の文体で、心に引っかかりつつも指の間からこぼれおちるような文章だと思います。きれいです。
さて、通訳の予習復習自主トレーニングに集中します。
また逃げたくなったら備忘録を書きます。